<   2006年 11月 ( 16 )   > この月の画像一覧

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こちらの擁壁はL型擁壁と呼ばれているものです。
そのL型擁壁の下部、Lの横棒の部分がベース(底盤)にあたります。
今回の工事ではLの縦横の鉄筋をすべて組み終えてから、ベースの部分のコンクリートを打ちました。

工事の手順としては、Lの縦棒の本格的な鉄筋工事を残して、ベースを打つ方法もあるのですが、今回は鉄筋工事をすべて終わらせてからベースを打っています。
今回のような小規模の工事の場合は、鉄筋工事をあとに残さないほうがいいかもしれません。
仕事の区切りがいいですからね。

ベースコンクリートの打設は11月下旬。
暦の上では寒い時期にあたりますので、27N/mmと通常よりも強度の高いコンクリートを打っています。
強度については、寒いとコンクリートの固まるのが遅くなるので、通常よりも早く所定の強度まで達するコンクリートを打った、とでも考えてください。
このことを温度補正といいます。

ちなみに温度補正についてはコンクリートを打った日から4週間までの平均気温を元に、あらかじめ地域ごとに決められている補正表を用いることが一般的です。
つまり、11月下旬にコンクリートを打つときには、コンクリートを打つ11月の気温ではなく12月の気温が問題となります。
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現場での鉄筋工事は組立作業が中心になります。

あらかじめ加工場で所定の長さに切断したり、曲がりの部分を加工した鉄筋を現場に運び込み、鉄筋屋さんが針金状の結束線で、鉄筋相互を結束しながら組み上げていきます。
もちろん加工場での加工作業も大事なのですが、現場で組むということが一番大事な作業になると思います。

組むべき鉄筋を間違えてしまうこと、組むべき位置を間違えてしまうことなど、現場での作業には間違える要素がかなりあります。
そして間違えたままコンクリートを打ってしまうと、誰にも気づかれずに間違えたままになってしまいます。
そのため鉄筋工事では、他の作業にもましてチェックが大事になってきます。

一般に、ある程度の規模の工事になると鉄筋が組みあがった段階で、役所等の検査が入ります。
これは鉄筋工事の重要さ・・・間違えたままコンクリート工事に進んでしまうと、取り返しがつかなくなることを表していると思います。

今回の工事では、公的機関による現場検査は工事写真の提出だけでした。
しかし施工者サイド、設計者サイドによる検査はしっかり行なっています。
この検査が終わるとコンクリート打設です。
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この足場は鉄筋工事と立ち上がりの型枠工事のためのものです。

擁壁の立ち上がりの高さが4メートル以上あるため、鉄筋を組むのにも型枠を組むのにも足場が必要になってきます。
これが2メートル程度の立ち上がりの高さならば、脚立でもよいのですが、さすがに4メートルとなるとそうはいきません。

足場があると作業自体にやりにくい部分は出てきます。
長い材料の取り回しに苦労しますからね。
特にこの現場のように作業スペースが限られているとなおさらです。
もちろん、足場がないと仕事が出来ないことはたしかです。
つまり 『有ると邪魔だけど、無いと仕事が出来ない』 ですね。

となると足場を組むのもたいへんです。
下手な足場を組むと、仕事の能率が落ちてしまうし、鉄筋屋さん、型枠大工さんに怒られてしまいます。

今回はまずまずの足場ではなかったでしょうか。
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写真はベースの型枠を組んでいるところです。

ベースというのは底盤のこと。
基礎などが地面と接する部分のことで、このベースから地面に重さが伝わっていきます。
人間でいうならば足の踵からつま先の部分、車でいうならばタイヤに相当するでしょうか。

重量物を運搬する車には、幅が広くて丈夫なタイヤが何本も使われています。
これは狭い面積に重さが集中するのを避けるためで、車の重さを分散させるためですね。
それと同様に建造物の場合も、その重量が増えるにつれてベースの広さが大きくなっていきます。

一般に建物の場合は、階数が増すとベースの単位面積当たりの重量が増えていきます。
つまり2階建てよりも3階建てのほうが、単位面積当たりの重量が大きく、それに応じてベースも広くなります。
擁壁の場合は擁壁の高さが増すと、ベースの単位面積当たりの重量が増えることになります。
そしてベースの広さは、この単位面積当たりにかかる重量に、地盤が耐えられるかどうかで決まってきます。

ということは地盤が軟らかい場合、ベースの広さを大きくして単位面積当たりの重量を減らせばいいのですが、じつはこれには限界があるんです。
ベースを広げると、ベースの上に乗ってくる土の量も増えてきます。
ベースの上に乗ってくる土は、当然にベースが負担すべき重さであり、土というのはかなり重いものです。
つまりベースを広げても、単位面積当たりの重量は思ったほど減ってはくれないということです。

では、どうするか?
そうゆう場合には、杭を打ったり地盤改良を行なったりですね。


一般に擁壁の場合、地上に現れる部分は人の目に触れるのでコンクリート打ちっ放し。
それなりの型枠工事が要求されます。
ところがベースは上部構造物が出来ると、土の中に埋め戻されてしまいます。
また、立ち上がりの型枠よりもコンクリートの打ち込み時の圧力も少なめです。
ベースの型枠工事には、立ち上がりの型枠工事よりも神経を使わずに済みます。
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捨てコンが乾いて、捨てコン上に乗れるようになったら、ベース型枠と鉄筋工事のための墨出しです。

墨出しとは、実際に作業を進めるうえで必要となる線や位置を、現場に示す作業です。
この墨出しで設計図や施工図などの紙に書かれた情報が、現場に落とし込まれるわけで、かなり重要な作業になります。
墨出し作業を行なうのは、いわゆる現場監督さん。
木造住宅でしたら、大工さんの棟梁、もしくは棟梁に準ずる立場の職人さん。
図面が読めて仕事の先が読める技術者ですね。

墨出しには文字通り墨が使われることが多く、墨壷(すみつぼ)が必携です。
墨壷とは墨を含ませた糸を引っ張ってはじくくことにより、直線を引くための道具です。
糸には柔軟性があるため、線を引く場所に少しぐらいの凹凸があっても、問題なく直線が引けるため、定規よりも使い勝手がいいですね。

墨壷を使って真っ直ぐな線を引くには、慣れるまでに多少の時間がかかりますが、ある程度の長さの線を引くためには、日曜大工レベルでも持っていたほうがいい道具かもしれません。
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砕石地業を終えると、捨てコンクリート(捨てコン)打ちです。

捨てコンクリート打ちとは、コンクリートを地業の上に敷き込んで、平らな面を作るための作業です。
平らな面は型枠を組んだり、鉄筋を組んだりするために使うもの。
捨てコンクリートの上に型枠工事のための墨を出したり、鉄筋工事のための墨を出します。
いわば原寸場ですね。

そのため捨てコンクリートには大きな強度は求められていません。
また、鉄筋なども入ることはありません。
だからといっていい加減に作業を行うと、そのあとの墨出し作業や型枠工事がやりにくくなります。


ここで『捨て』という言葉です。
建築関係では『捨て張り』『捨て塗り』などと使われています。
いずれも表面には現れてこない、捨て石的な使われ方をしています。
でも、それが無いと困る。
捨てコンクリート打ちはそんな感じの作業でしょうか。
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地業(じぎょう)とは、基礎を築くための、基礎といえる工事です。

一般的に行われている鉄筋コンクリート基礎の場合、土の上にいきなりコンクリート基礎を築くことはまずありません。
まず、土の上に石を敷き込んで、石ごと地盤を突き固めます。
このあたりまでが地業と呼ばれている作業です。
ここで用いられている石は、割栗石、砕石など呼ばれ、地盤の状態で決められます。

地盤を突き固めるのに、土だけの状態で突き固めないのは、土だけだとなかなか突き固めが効かないからです。
一度試してみるとわかりますが、土の場合はここを突けばあちらが持ち上がる、あちらを叩けばこちらが浮いてくる、そんな感じになることがあります。
局所的な突き固めは効くのですが、面での突き固めは土だけだと厳しいんですよ。
ところが石を敷き込んで、石ごと突き固めると地面はしっかり締まってくれます。

写真は砕石を敷き込んだうえから、目つぶしと呼ばれている細かい砕石を敷いているところです。
目つぶしは、砕石の隙間を埋めるためのものです。
このあと、しっかり転圧をして捨てコンクリート打ちです。
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写真は平板載荷試験の様子です。

平板載荷試験とは地盤調査の一種で、簡単にいうと、地面に重たいものを載せたときに、地面がどれだけ沈み込むのかを調査する試験です。
かなり具体的かつ直截的な試験ですね。

写真で赤く写っているのは、荷重をかけ、コントロールするための油圧ジャッキです。
油圧ジャッキの上に載っているのは、油圧ジャッキを下方向に効かせるためのおもり・・・反荷重としての重機です。
そして油圧ジャッキの下には30cm径の平たい板・・・平板が敷き込まれています。

調査は油圧ジャッキを操作して、荷重を変えて時間とともに、平板がどの程度地面にめり込むのかを調べます。
もちろん、めり込む量が少ないほうが良い地盤ですね。

ただ、この試験では地面の深いところまでは見とおせるわけではありません。
あくまでも表面付近の地面の状態を探るための試験です。
そのため、この試験だけで判断してしまうのは危険です。

今回は近隣の地盤データ、すぐ近くにある同種の既存擁壁の状況を調べました。
また、根伐り・・・基礎工事のための掘削工事を行ったところ、事前に想定していた関東ローム層がきれいに現れてくれました。
また、平板載荷試験の結果も想定していたとおりでした。
これで、ひと安心です。
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築20年ほどの瓦屋根の棟の部分です。
向かって左側、白っぽく見えている漆喰が、剥がれ落ちているのがわかると思います。

こちらの建物は新築以来、だれも屋根に登ったことがないようでした。
つまり20年間出来た当時のままできています。
屋根の点検スケジュールからすると、20年はいささか長いですね。
何事もなかったとしても、もっと短いスパンで点検は行っておいたほうがいいと思います。

今回瓦屋さんを呼んで屋根に登ってもらったところ、写真に写っている状況を発見。
すぐに補修工事を行いました。

じつは、この漆喰が剥がれ落ちているからといって、雨が漏っているわけではありません。
防水処理は漆喰の下の部分で行っていますからね。
だからといって、漆喰が剥がれ落ちたままにしておくと、この部分の瓦が緩んでくることがあります。
そうなってしまうと、雨水が盛大に瓦の下にまわってしまい、雨が漏ってくる可能性が出てきます。

今回はそこまで行ってしまう前に対処できました。

今回の点検では、そのほかに瓦のずれている部分を直して終了。
点検、補修あわせて1時間程度の作業でした。

瓦屋根は築10年を過ぎたら、3~5年に一度は瓦屋さんに屋根に登ってもらったほうがいいですよ。
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写真はコロニアル屋根に、藻が発生しているところです。

コロニアルというのは、窯業系の素材の表面に塗装処理を施したものです。
この表面の塗膜が劣化してくると、雨水のキレが悪くなるようで、雨が上がってからも湿気っぽい状態が続くようになります。
そして湿気が残っていると苔や藻が生えてきます。
とくに日の当たりにくい建物の北側で、この現象は顕著です。

こちらのお宅の築年数は7~8年だと思います。
コロニアルの表面の塗装が劣化するには早すぎるとは思いますが、写真のとおりしっかり藻が生えてきていました。
コロニアル屋根というのは、苔や藻が生えやすい屋根ではありますが、一般的に苔や藻が気になりだすのは築10年以上でしょう。

当然、コロニアル自体が7~8年で寿命になるようなことはありません。
防水上もまったく問題はないと思います。
ただ、この屋根が外から見える場所だと、見栄えが良くないだけです。

それならば屋根に登って掃除をするとどうなるのか?
残念ながら、危険を押して屋根掃除をしても、しばらく経つとまた苔や藻が生えてきます。
苔や藻が生えないようにするには、コロニアルに塗装を施して撥水性を回復するしかないと思います。
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