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知的障害者グループホームの火災

2008年6月2日未明に神奈川県綾瀬市で発生した、知的障害者グループホームの火災の件です。
大きな被害を出してしまった、このグループホームの火災について、消防設備に関する消防法上の事実を簡単に述べてみます。

消防法のほうからしてみると、2008年6月の時点では、このグループホームには、自動火災報知設備、消防機関へ通報する火災報知設備、スプリンクラー設備等の設置義務はありません。
また、住宅用火災警報器の既存住宅への設置については、神奈川県綾瀬市の条例では、2011年5月31日までは猶予されています。
つまり、火災発生の時点で、このグループホームには、消火器を除くとこれといった消防設備を設置すべき義務がなかったということです。

認知症高齢者グループホーム等(自力で避難することが著しく困難な人が入所する施設)への、自動火災報知設備、消防機関へ通報する火災報知設備、スプリンクラー設備等の、消防法による設置義務は、新築の場合で2009年4月からとなっています。
既存建築物には、さらに3年間の猶予期間が設けられています。

住宅用火災警報器については、新築住宅で2006年6月から設置が義務付けられています。
しかし、既存住宅については、消防法で2年間の猶予期間が設けられており、さらに各市町村は条例で、猶予期間を5年間まで延長することが可能となっています。

最後に私見です。
話があと先になりますが、この知的障害者グループホームは、認知症高齢者グループホーム等に該当するのかという問題があります。
このグループホームの入居者は、日中は通所施設に通っていたとのことなので、自力で避難することが著しく困難とはいいがたいかもしれません。(入居者が通常の移動に介助が必要であったり、車椅子等が必要であれば話は別です。)
となると、このグループホームは、認知症高齢者等グループホームには該当しない可能性があり、自動火災報知設備、消防機関へ通報する火災報知設備、スプリンクラー設備等を設置する法的義務が、2009年4月以降も発生しないということです。
ただ、今回の火災によって、認知症高齢者等グループホームの範囲が広がる可能性はありますね。
by safetycap01 | 2008-06-04 21:05 | 防災 | Comments(0)